ムー物語
第四話〜<ムーが黄金色に輝いた晩>(ママの泣いた夜)〜

それは、なんと切ない夜だったんでしょう
ママはいつの頃か気付いてはいたんですが…
満月が東の夜空にかかる夕刻
いつものようにママのお膝に座っていたムーちゃんは
そろりと降りるとベランダの椅子にちょこんと乗って
遙に遠い青白く輝く絵の様な月を眺めています
満月の夜はいつもそうなんだな〜
とママは思いました

静かな夜…
空気の流れる音すら聞こえません
この世界に存在するのはムーちゃんとママだけかも知れない
何の不思議もなく、そう感じることができるほど
時は止まってしまったのでしょう

一瞬大きな月の傍らを一筋の光り
長い尾を引いて星は流れました…
ママはムーちゃんの後ろ姿を長い間見つめていたのですが
小さなムーちゃんの身体にキラキラと
金色の金粉が降りかかり
やがてムーちゃんは黄金色に輝き出したのです
星屑の光がそうさせたのでしょうか
ママは驚き、そしてこの輝きが消える時ムーちゃんも
一緒に消えてしまうような気になり
思わず立ち上がりながら「ムーちゃん!」と声を上げました

一瞬にして黄金色の輝きは消え
大きな月の光の下にはいつもの純白のムーちゃんが
いて「みゃ〜」と泣きました
ひざまずいたママの足元にムーちゃんは
歩み寄り特別、甘える声で「ママ〜ミュ〜」と泣きました
ママの瞳に涙が溢れ
やがて、それはポロポロと頬をつたわりました
「ママどうしたのニャ〜どうして泣くにゃ〜」
小さな舌でママの涙を拭ってやりました
やがて止まっていた空気は流れ出し
時は静かに動き出しました

さっきの黄金色の輝きは幻だったのかなと
ママは思いましたが
とても悲しい予感がママの心の奥に
芽生えました
何も考えたくないと思いながら
ムーをいつもより強く抱きしめました
そんな満月の夜でした

      つづく・・・

        
           ボス猫
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