〜微羽の句集〜

第四部・今(平成11年より)
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3月 ☆春の雷 鍾馗の御髭 描きすすむ
☆咲きそめし かくれ桜や 寸又峡
平成18年
9月 ☆水琴窟 一尺流す 今朝の秋
☆玉すだれ ショパンのバラード 流れきて
4月 ☆溝影に 白際立ちて 花なずな
3月7日
義兄の葬儀にて
☆紅に 馬酔木花咲く 葬かな
花の文化園 ☆メタセコイヤ 秀に春風の あるを見し
☆淋しさは 云わず拾ひぬ 龍の玉
☆弘川の 寺の一隅 すみれ咲く
☆弘川寺 紅あきらかに 落椿
弘川寺 4句 3月 ☆鴬や つくばいの水 さゆらぎて
☆雪原の 雪しまく降る 夜の玻璃
雪の富山 ☆風筋か つらら傾ぎて 生まれ居り
☆見渡しぬ ひとりの部屋の 古年今年
お正月2句 ☆泣くことの 幸せのあり 年明くる
平成17年
滝畑ダム ☆山深し 驟雨に鴉 雫して
磯壁 ☆露地細く 溝の色して 蛇ゆけり
☆咲き満ちて 醒井宿の 百日記
琵琶湖(2句) ☆梅花藻の 花の囁き 地蔵川
信州にて 9月 ☆岩つばめ 借景に舞ふ 槍穂高
川柳作家、8月 ☆蜻蛉の いつしか消えて 葬儀果つ
西村 茂氏葬儀(2句) ☆赤とんぼ 弔吟に湧き 飛び交へり
☆「愚庵居」の いとも小さき 夏椿
☆すぐ消ゆる 水の輪生みて 水馬
☆棚田今 早苗育ちぬ 風呼びて
☆七十路は キラッと生きたし 花柘榴
☆瑠璃揚羽 るり光放ち 風に消ゆ
6月 ☆在りし日の 長靴の父 葱坊主
☆山里は 紫多き 矢車草
☆雨の薔薇 光る雫も いたゞきぬ
☆万緑や 僧の唱和に 聴きいたり
5月 ☆白藤の ひたすら白き 別れかな
☆榧若葉 音なく鳩の 集い来し
☆春光の 大屋根浄土 見たりけり
☆九品寺の 白極めたる 落椿
☆ゆるやかに 枯蔦纏ふ 道祖神
4月 ☆雨の庭 暮れてなほある 花明り
☆盆梅や 「思いのまま」と 名をかかぐ
☆白き緒の 老尼立ち寄る 草の餅
3月 ☆花なずな 揺らして水の 光りけり
☆幽玄の 極み和太鼓 冴え返る
☆蝋梅の 真昼や空の 透きて見ゆ
☆メタセコイヤ 二月の空の 凪ぎわたる  
☆満ちて来る 心にしかと 牡丹の芽
2月 ☆古雛 鼻梁の影の 美しき
☆剥落の 壁画に冬日 届かざり
☆音無川 日のさんさんと 実南天
栄山寺(3句) ☆南朝の 寺鎮まりて 寒椿
☆冬の鹿 しづかによぎる 地蔵塚
☆夕しぐれ 水面の甍 崩しけり
1月1日 ☆光る眼の 元旦に遇ふ 穴惑
平成16年
☆編み笠の 紅の緒しかと おわらの夜
☆風の盆 地方が堂を ゆるがして
聞略寺風の盆(3句) ☆細き指 胸にかざすや 風の盆 
平成13年
☆歳月や 倒木びっしり 苔の花
1月 ☆月下美人 終焉の刻 見守って
平成12年
6月9日 ☆花菖蒲 咲きて面影 あるばかり
4月18日 ☆納骨の 双手に 春雨滴りぬ
☆花冷えや 吾が名朱書の 墓たてり
4月 ☆ミサへの道 亡父と仰ぐ 花水木
☆亡き夫へ 手向けん土筆 闌けゐたり
☆獨り往く 夫亡き道の 諸葛菜
1月12日 ☆堂冷ゆる 帰天の夫の 頬に触れ
豊川病院にて ☆冷まじや 夫幻覚の 中にいて
1月11日(2句) ☆虎落笛 夫激痛を 告げいたり
平成11年